鳳凰三山

年に一度の日本アルプス登山。今年は週末ごとに天気が悪く、予定が延び延びになっていました。天気予報はかんばしくなかったのですが、みんなの予定を考えるとこれが最後のチャンス!ということで、9/20,21と、鳳凰三山に行ってきました。


スタートは青木鉱泉。ドンドコ沢という道をドンドコ登る。樹林帯の中の坂はとても険しい。でも、いくつもの救いがあります。それは、滝。南精進ヶ滝、鳳凰の滝、白糸滝、五色の滝といったそれぞれに力強く美しい滝。その流れを眺めるたびに、体に力が満ちてくるのです。この先にはどんな眺めが待っているのだろう。そう思うと足取りが弾むのです。

沢が終わると、次はザレ場。登れども登れども砂の壁。いい加減しんどいわと思った頃、槍のような鋭い岩の塊が目に入ってきます。オベリスクです。これが見えると、地蔵岳の山頂も近い。

息を切らしながら山頂に着くと、そこはあの世に片足を突っ込んだような景色。ガスが満ちる砂地に、たくさんのお地蔵さまが並んでいます。これからの山行の無事と天気の回復を祈り手を合わせ、続く観音岳へ。

一旦下ってからの登り返しはキツかった。観音岳を下りたところにある鳳凰山荘で昼食。小屋の人に翌日は天気に恵まれそうだと聞き、弾む心で薬師岳へ。山頂はやはりガスっていたため、達成感を味わったらすぐに薬師岳小屋に向かいました。

着いたのは16時くらいだったので、外は下界だと晩秋の寒さ。防寒着を着込み、プチ宴会と夕食。夕食のメニューは、友だちがつくってくれた豚キムチ丼。辛さと脂っこさが、疲れた体に沁み入りました。


9月とはいえ、3000メートル近い山の夜は冬のように寒い。20年以上使って薄くなった3シーズン用のシュラフでの眠りは浅く、おかしな夢をいくつも見ているうちに朝を迎えていました。朝は5時に起き、すぐ近くの乗越しでご来光を待ちました。前日の天気予報では雨だったのですが、空には星。やがて雲が青くなり、紫に、そしてピンクがオレンジになり、赤いお日様が昇ってきました。小さい心を焼き尽くすような圧倒的に明るく強いご来光は、何度体験しても感動してしまいます。

ご来光のあと、いったん小屋に帰って朝食をとったあと、再び薬師岳へ。今日は眺望バッチリです。富士山、白峰三山の眺めはもちろん、甲府の市街までよく見えました。ずっといたかったけど、帰りの渋滞のことを考えるとのんびりしていられません。中道を通って、ひたすら急な坂を下りました。ザレ場が終わると長い長い樹林帯。眺望もない上に角度が急なので、精神的にも肉体的にもキツい下りでした。

ガクガクの足で林道を歩き、ふりだしの青木鉱泉に到着。すぐに温泉といきたかったのですが、ここは駐車料金が高かったので、温泉も割高かも、ということで、ちょっと足を伸ばして話題の「ほったらかし温泉」に入って帰りました。ほったらかし、確かに開放的で気持ちよかったです。あえて施設などは凝らないという引き算のサービスがウケているんですね。こういうところが流行るといいうことは、みんな過剰なサービスには疲れてるのかも。


泊まりでの登山は年に一度、ということでテンション上がってしまうのですが、年に一度だと体への負担がハンパない。足の疲れは1週間ほどとれませんでした。もういい歳だからね。体と相談しながら、来年も、これからも、登り続けようと思います。