RELEASE;に会いました

但馬武さんのご案内で、「RELEASE; 東京胎動」というイベントに参加しました。いままで関西を拠点に社会課題の解決に取り組んできた非営利型プロデュースカンパニーであるRELEASE;が、東京でも活動の場を広げていきたい、ということで開かれたこのイベント。WEBサイトを見たり人から聞いたりしただけではわからないRELEASE;の思想やスタンスを、代表の桜井肖典さんと風間美穂さんから、じっくり聴ける貴重な機会となりました。

RELEASE;を際立たせているのは、なにより、社会課題への向き合い方。課題の解決というとどうしてもネガティブな要素に目が向きがちで、またそこに向き合うことで消耗しがちなところもあります。ところがRELEASE;は、「人間は本来光である」という考え方がベースにあり、課題の奥にある「願い」にフォーカスし、それを実現することに取り組んでいるのです。さらに、コサンルティングに終わらず、可能性をかたちとして見えるところまでを提案し、プロデュースします。

クライアントからの課題をそのまま受け取るのではなく、課題の奥にある意図や、自分たちが本気でつくりたいと思う未来のヴィジョンをかたちにする。新しいものをつくるために、いま持っているものも手放し、いったんフリーな状態にする、という仕事の姿勢は、「RELEASE;」というカンパニーのネーミングの由来にもなっています。

解決のフェーズでも、いままでのビジネスのかたちにはこだわりません。たとえばいま社会課題解決ビジネスの分野で注目されているSDGs。本来は共創のための枠組みなのに、既存のビジネス環境がベースになっていることで、競争のためのタグづけになってしまっています。何を解決するか、だけでなく、どう解決するかが、サステイナビリティを左右するのですね。

そもそもを疑う。たとえば、「農業がしたいんです」という相談の場合、「農」とは何か、なぜ「業」なのか、というところから疑い、本来の願いを実現するための企画をつくっていく。チーム編成に関しても、まず仕事ありきではありません。いっしょにやりたいと思えるメンバーでチームを構成し、仕事になれば仕事にしていくというかたちが多いそうです。

この独特なチーム、組織づくりの背景には、桜井さんの痛い経験があります。かつて、自分がつくった会社に自分が苦しめられたそうです。人のために組織があるのに、組織が人を苦しめるようになる。周囲の期待に応えないといけない、成果を出さないといけない、弱みを見せてはいけない。組織を維持し、大きくしていくためのプレッシャーが、苦しみとなるのですね。組織があるから人がいるのではなく、人がいるから組織になっている。そんな形で成り立っているのがRELEASE;なのです。

いま不安とわだかまりと緊張でガチガチな日本の首都、東京を、RELEASE;がどうやって解き放ってくれるのか。期待せずにはいられません。