教育や勉強から解き放たれた、2週間の学び。自由学園男子部「学業報告会」

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自由学園男子部の学業報告会に行ってきました。学業報告会というのは、たくさんのテーマの中から生徒一人ひとりが興味のあるものを選び、学年を超えたグループをつくって2週間ほど学びを深め、ステージやポスター、映像などで発表する行事です。

 

テーマは本当にさまざま。ステージ発表は、「戦国時代の平和」「良い情報発信とは何か」「教育と環境からみる日本の課題とその提案」といった学術的なものから、演劇やバイオリン、バンド演奏を組み込んだ文化的なものまで。ポスター展示も「小水力発電への挑戦」「個人・対人・集団における心理的影響の分析」など、自分たちで実験をしたり調査をしたりした力の入った資料が見ものでした。

 

他に、脚本から演出までを生徒がつくりこんだ短編映画の上映や、表現の本質を考えた美術の展示などもあり、生徒たちの瑞々しい探究心にはうならされるものがありました。

 

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お昼は男子部食堂で「男子部生による男子部生のための昼ごはん」を。これも、学業報告会のテーマのひとつ。生徒たちは他校の昼食を調べたり、現役の男子部生や男子部を卒業した学部生にアンケートをとったりして研究し、考え、料理をしたメニューです。前もって男子部生に昼食として出し、その反省を生かして父母や来賓向けにふるまった二回目を、私たちはいただきました。メニューは、ボストンハンバーグとシーザーサラダ、カプレーゼとパン。飲み物は紅茶で、デザートはティラミスでした。これ、本当に男子がつくったの?というくらい上品で、食べ応えのあるボリュームでした。

 

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食堂で貼られていたポスターには、学園のキャンパスにいるザリガニを食べることに挑戦したレポートもありました。こういう体当たりのチャレンジも男子部ならではですね。

 

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報告会の締めくくりは、東京学芸大学の成田喜一郎先生と、男子部部長の更科幸一先生、そして生徒たちのパネルディスカッション。「自分の好きなテーマだと学ぶのが楽しかった。ふだんの勉強の中にも自分が好きになれるところを見つけていきたい」「他の人の表現を見ていて自分ももっとうまくなりたいと思った」といった感想が聞かれ、この2週間の体験がただのイベントで終わらず、学園生活に反映されていくような動きを感じました。成田先生からは、「自由学園は『生活即教育』と提唱してきたけれども、これからの学園からは、教育という言葉を葬り去ってもいいのではないか。『生活即学び』学び、究めるという体験を、生徒たちにもっとしてほしい」と思い切った提言が。たしかに、「教育」とか「勉強」という言葉に張り付いた「やらされ感」から解放された学びが、これからもっと必要になってくるのかも知れません。

 

報告会が終わり、校門を出てすぐ右のところに完成間近の「自由学園みらい館」が見えました。自由学園の生徒や学生たちが植えた木を使った真新しい建物は、11月22、23日に開かれる「おさなご発見U6ひろば」という催しでお披露目されるそうです。小さなお子さまがいらっしゃる方は、ぜひ足を運んでみてください。

 

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