夢とうつつの間で観た「うみやまあひだ」

四日野小ガーデン仲間からのお誘いで、映画「やまうみあひだ」の上映イベントに行ってきました。伊勢神宮式年遷宮をめぐり、12人の賢人が語るドキュメンタリー映画です。

 

畑仕事のあとに腹いっぱいランチ食べて観たものだから、正直、美しい映像と音楽の波におぼれて序盤はウトウトしてしまいました。が、中盤以降はじわじわそのテンションに脳が覚醒してきたのか、多面体のようにさまざまな側面から語られる遷宮と自然、そして文明のヴィジョンに引き込まれ、興奮のうちに映画を観終えたのでした。

 

自然に抱かれて、これからの世代に預かった時間を生きる私たちはどう生きるべきか。1300年あまり続いている式年遷宮を通して考えさせられます。圧倒的な自然をとらえた映像の中にいると、自分という一人の人間は本当にちっぽけなものだと思わされます。

 

長期的な視点で、謙虚に自然と向き合ってきたのも日本人なら、いま目先の儲けに翻弄されて刹那的に無気力に生きているのも日本人です。

 

パワースポット流行りもあり、とかく神社に注目が集まり、伊勢神宮もテーマパーク的に注目されていますが、ただ「スゴいよね」「きれいだよね」「ご利益ありそうだよね」で終わらせるのではなく、どうしてスゴいのか、どうしてきれいなのか、どうしてご利益がありそうなのかを問いかけながら訪れたいものだと思いました。

 

伊勢神宮に限らず、歴史的な建物や自然と向き合うときにはね。「やまうみあひだ」は、これからもいろいろなといころで上映会があるようです。機会があればぜひ。私も今度は、もっと大きなスクリーンと深い音響の場で観てみたいですね。

 

上映後のトークも刺激的でした。特にライフネット生命保険の出口社長のコメント。いちいち深く、かつ力が抜けた感じ。「人間の脳は進化していないんですから、考えはシンプルなほうがいいんですよ」「人種なんてないんです。みんなホモサピエンスで、ルーツによって見かけがちがうだけで」などなど。歴史マニアだそうで、人類の歴史を踏まえた人や社会の見つめかたが鮮やかなんです。

 

自然や歴史…。若い頃にはまったく興味がなかったのですが、最近はグイグイ引き込まれていきます。もっと歳を重ねると、もっといろいろ関心が広がって見えて来る世界も変わってくるのかも、なんてちょっとこれから楽しみになったゆたかなイベントでございました。