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夏休み日記(1)ちょっと寄るつもりが…


仕事でもプライベートでも、何足ものわらじで走り続け、春ごろから心身がおかしくなりはじめました。蕁麻疹が出たり眠りが浅くなったりしながらも、騙し騙し頭と体を動かしていましたが、いよいよ7月ごろ、落ち着きなさと憂鬱さがいっしょになったような重苦しさを感じ、医師のすすめもあって、8月いっぱいは休むことにしました。


東京にいるとついつい動いてしまうので、毎年訪れる島根で、いつもより長く過ごそうということになりました。車の運転に慣れていないので一気に移動するのは疲れるだろうということで、まずは妻の実家がある三重へ。


三重でまず訪れたのは、いつも野菜を送っていただいている美杉町の農家さん。朝10時に直売所を訪れると、早くものんびりモード。野菜は朝早くに来て、ほとんどすぐに売れてしまうそうです。前に来たときは美杉町を舞台にした映画「WOOD JOB」が封切り前ということもあり、みなさん興奮気味だったのですが、今回はその熱も一段落している様子。映画の効果で移住者や林業従事者が増えたかというとそういうこともなく、たまに映画のファンがロケ地巡りに来るくらいだそうです。それでも、「まあ、覚悟がないと来れませんわなぁ〜」と、じいさまたちは朗らかでした。



そのあと、青年海外協力隊で訪れたパプアニューギニアでたくましく生きる人たちに触れ、Iターンで有機農業をはじめたという百姓サブローさん宅へ。卵を売るために飼い始めたというニワトリ小屋でニワトリたちと戯れながらおしゃべりしました。ニワトリのエサは雑穀や糠。仲間の農家さんからいただいたものをブレンドしているそうです。卵をおみやげにいただきましたが、見かけがワイルドな割に味はマイルドで美味しかったです。ワイルドでマイルド。まさにサブローさんのキャラそのまんまです。



三重ではその他に、歴史マニアの息子のリクエストに応えるかたちで伊賀上野城と松坂城跡、そして本居宣長記念館に足を運びました。私自身は歴史にはほとんど興味がなかったのですが、触れてみると面白いものです。歴史に残る人はたいがい「やり過ぎ」な人が多いので、エピソードなんかを見聞きしていると興味がわいてくるんですね。


本居宣長なんて、ほんと名前しか知りませんでした。ちょっと展示を見るだけ、というようなつもりで訪れた本居宣長記念館では、ちょうどワークショップの直前でした。内容は、宣長が17歳のときにつくった地図について学び、自分でも描いてみよう、というもの。時間が3時間と聞いてためらい、その場を去ろうとしたときに、館長がやってきて猛烈に参加を誘われました。「地図の見方が変わりますよ!人生の見方も変わるかも知れませんよ!」なんてテンションで誘われるものですから、まあこれも何かの縁かもしれないと家族みんなで参加することにしました。


最初はやれやれと思っていたのですが、これが面白かった。古今東西のさまざまな地図や、架空の物語の地図などを解説を踏まえて眺めていると、地図というものは、それぞれの時代や国に生きる人たちの世界観を反映したものだと言うことが分かってきます。そして、架空の物語も、地図があることでよりリアリティを持つということも。そんな話を聞いていると、地図そのものが物語性を帯びているような気がしてきて、俄然地図への興味がわいてきます。最近は地図といえばとかくGoogleマップに頼りがちですが、これからは紙の地図と対話をする時間を増やしてみようという気持ちになったのでした。