今回も熱かった!グリフィス大学R水素ビル視察報告イベント@リトルトーキョー


再生可能エネルギーに取り組む人たちの間で、最近とくに注目が高まっているのが「オフグリッド」という考え方です。オフグリッドとはグリッド、つまり送電線がなく、自立した状態で再生可能エネルギーを使うことを言います。


巨大な送電線網に頼り、足りないときは電力会社から何でつくったのかわからない電気を買わないといけないというあり方は、本当に再生可能と言えるでしょうか。余った再生可能エネルギーを巨大送電線網を通して電力会社に売るビジネスモデルがありますが、電力会社を通して遠いところに住む人から取ったお金で運営するかたちは、本当に地域電力と言えるでしょうか。


フグリッドにより、地域単位で再生可能エネルギーを「つくって、貯めて、使う」ことができるようになれば、効率だけではなく、セキュリティも向上します。先日行われたR水素ネットワークのイベントは、そんなオフグリッドの最先端事例、R水素によるオフグリッドを実現したグリフィス大学のビルの視察報告でした。

再生可能エネルギーだけで自立するため、トコトン省エネを考えた構造になっていること、大学の施設ということで電源が落ちるリスクを避けるためバッテリーも使っていること、将来的にはバッテリーの比率を減らし、水素の割合を増やしていく計画であることなど、たくさんの写真を交えて詳しくプレゼンしてくれました。


また、イギリスの水素政策の話にも勇気づけられました。低炭素のエネルギーにシフトしていく計画の中に水素が組み入れられていて、化石燃料由来の水素から水の電気分解による水素に移行することで、CO2フリーのエネルギー社会を実現していくビジョンがヨーロッパ全体で進んでいるような印象を受けました。


プレゼンの最初にプレゼンテーターのリナちゃんが「Disruption」という概念について話をしてくれました。広告の世界でも聞く言葉です。既存のしくみを全く変えてしまう破壊的な創造、発明、という意味ですね。R水素はエネルギーにおけるDisruptionであり、これまでのエネルギーのかたちにとらわれてると、なかなか理解しずらいところがあります。


ましてやこれまで具体的な形がなく、リアルに想像してもらうことが難しかったR水素。それが具体的な事例となってあらわれたことは、とてもうれしいことでした。

グリフィス大学の副総長であるネドさんのコメントです。


オーストラリアは豊富な太陽光とグリッドから遠く離れた町が多数ある。この国のエネルギー需要の状況を考えた結果、水素エネルギーにたどり着いた。水素の魅力は太陽のエネルギー(あるいはその他の再生可能エネルギー)を大量に貯蔵できるところだ。この魅力を、水素貯蔵システムを導入した大規模な建物で世界に示すことにした。それが、グリフィス大学のサー・サミュエル・グリフィス・センターのプロジェクトである。水素技術が抱える大きな問題は、計画書を現実化することだ。その旅の一歩に貢献した形である。


R水素の定例イベントは、これで4回目。すべてに出ていただいている方にとっては、いままで知ったことの実例とい うことで納得を深める機会になったかと思います。でも、そういう人はほとんどいないんですね。初めてR水素の話を聞きにきたという人はかなり戸惑っている印象を受けました。質疑応答は盛り上がり、次回への課題もたくさんいただきました。


毎回必ずされる質問があります。
「R水素社会にするために、私たちにできることは何ですか?」


マーケットができれば、R水素システムは効率が上がり、コストが下がっていきます。そのためには、私たちひとりひとりが有権者として、歪んだエネルギー市場をフェアにするよう、補助金などの流れを変えていくこと(化石燃料業界への補助金はなんと年間2000兆円!)。そして、消費者としてR水素システムが欲しいという声をあげ、ニーズを作り出していくこと。そのためにはまず、一人でも多くの人に知ってもらう必要があります。そのために「伝えるツール」を活用していただければと思います。


R水素ネットワークの活動は、すべてプロボノ、ボランティアで成り立っています。ソーシャルメディアの運用やファンドレイジング、事業立案、エンジニアリングなど、さまざまな分野の人の協力が必要です。ホント、仲間を待っています。


いまR水素ネットワークが実現したいのは、国内で一軒のモデルハウスをつくること。百聞は一見にしかずといいますが、誰でも気軽に訪ねられるカフェのようなものをつくりたいと思っています。オーストラリアまで見に行くのは大変ですからね(笑)。


定例イベントは、2回に1回は基礎的な内容にした方がいいのかも知れない。代表のハルさんも、言いたいことがあるかも知れない、ということで、次回は2時間まるごと江原春義で行こうかなあと思ってます。次回もたくさんの人の出会いを期待しています。