手作りソーセージも、学びの時間も、中身ギッシリのSow!政治でした

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ソーセージをつまみながらカジュアルに政治を語るイベント、Sow!政治。vol.12のテーマは「対話の場とソーセージのつくりかた」でした。

いつものSow!政治は出来合いのソーセージが並びますが、この回はソーセージづくりからスタート。慣れない手つきで挽肉をこね、羊腸に詰め、茹でて、焼いて…と、みんなでいっしょに手を動かすうちに、はじめての人も、おなじみの人も、心の距離がグッと近づきます。

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ソーセージができたら、いよいよ学びとおしゃべりの時間。百戦錬磨のファシリテーター、てっちゃん(小笠原裕司さん)に、「対話の場づくり」の奥義を伝授してもらいます。

そもそも、対話ってなんでしょう。人と人との会話には、いろんな形がありますよね。雑談に、議論に、対話…。

まず、雑談は、その場の気持ちを吐き出すだけの会話。次に議論は、答えを見出すために意見を戦わせる会話。そして対話は、お互いを理解し合うために相手の話を聞き合う会話なのだそうです。

判断はひとまず置いておき、視野を広げるために、言葉を通じてお互いの意見を深掘りしていく。それが対話なんですね。

いま北朝鮮の情勢をめぐって「圧力か対話か」とスタンスが分かれていますよね。アジアだけではなく、世界には争いが絶えませんが、国境を越えていろんな人たちが気軽に雑談できる時代をつくっていきたいものです。

雑談か、議論か、対話か。ふだん人と会話をするときに、この会話はどれに当たるのかだろうかと意識してみると、話し方が変わり、得られるものも変わってくるのかもしれません。

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有意義な対話を積み重ねるために大切なのは、相手の意見のいいところを見つけること。否定は簡単。判断材料が少なくても、考えなくてもできますから。でも、そこで終わると話が深まっていきませんよね。 自分と違う意見や知らないことを聞いたときはチャンスです。「それって何?」「どういうこと?」と深掘りしていくことで自分の視野を広げることができるのです。

対話にもコツがあれば、対話の場づくりにもコツがあります。人が集まって「さあ、対話をはじめよう」となっても、戸惑うことがありますよね。

人が話をしにくい理由は、大きく、以下の4つだそうです。

①テーマそのものが分からない、言い方が分からない

②失敗しないかという不安がある

③あえて言わない

④興味がない

上記のうち、③④はどうしようもないところもありますが、①②は、工夫次第で解決できます。

テーマや言い方が分からないという人が多い場合は、ふせんなどを使って、話の中で出てきた単語を書き出していくやり方が有効です。わかる単語をきっかけに、話が広がっていく可能性があるからです。

また、大人数で話す前に、まず少人数のグループで話し、そこで出た話を共有するという進め方もあります。少人数だと安心して話せますし、発表も、自分の意見ではなくグループの意見だとなるとハードルが下がりますよね。

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次に、議論のコツも聞きました。なかなか議論が噛み合わないな、というときは、議論の段階を検証してみるとうまくいくことがあります。

「現状・願いの共有→問題→原因→対策→優先順位づけ」という順番で議論を進めることが理想です。今はどの段階の話をしているのかを把握してみよう、と呼びかけることで、議論の焦点をハッキリさせることができます。また、ホワイトボードなどを使って議論を可視化させることも大切です。

今回学んだ技術は、Sow!政治だけではなく他のワークショプやふだんの会議などでも活用できそうです。てっちゃんのように軽妙なトークとともに進めることはとても難しいですが、道具として使っていくことで自分なりにモノにしていきたいと思いました。

次回のSow!政治は11月16日(木)。久しぶりに、テーマは設けずにソーセージをモグモグしながら政治のモヤモヤを語り合う場にしようと思っています。お気軽にご参加ください!

⭐︎Sow!政治vol.13「Sow!政治 vol.13「モグモグしながらモヤモヤを語ろう」

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僕らのとなりにある政治。「SOW!政治vol.11」レポート

ソーセージをつまみながらカジュアルに政治を語るイベント「SOW!政治」。先月行われたvol.11は、初めて現役の政治家の方をゲストにお迎えしました。

ふだん政治家がまず訪れなさそうな社員食堂Labまで足を運んでいただいたのは、小金井市議会議員の白井とおるさん。こういうくだけた場だからということで、パンダのTシャツにジーンズというカジュアルな服装でいらっしゃいました。とはいえ、お互い緊張しますよね。そんな場を和ませてくれたのが、トークの前のソーセージもぐもぐタイムでした。バカみたいに盛られたソーセージをつついていると、堅苦しい空気のままでいるのがバカみたいに思えてくるから素敵です。

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ほどよくおなかがふくれたところで、白井さんのお話がはじまりました。白井さんはいわゆるロスジェネ世代。就職氷河期に社会人になった方です。大手企業への就職が一生の安泰につながらなくなった時代、白井さんはどんな状況でも稼げる力をつけるためにベンチャー企業に就職。それからはモーレツな仕事中心の日々です。政治のことなんて全く考えたことがなかったそうです。

そんな白井さんが変わったきっかけは、お子様が生まれたことでした。子どもが幸せに生きていける社会をつくるために、まずは地域での活動をはじめ、その延長で地域の身近な政治家、市会議員に立候補。みごと当選され、次は市長選に出るために辞職。残念ながら次点となり、再びの会社員生活を経て、また市議会に立候補され、当選されます。2回当選だけでもすごいのですが、何よりすごいのは完全無所属ということ。政党が推薦するなんちゃって無所属ではありません。選挙のときだけではなく、「小金井をおもしろくする会(こがおも)」などの活動を通して、ふだんから市民と対話する姿勢が、きちんと評価されているのですね。

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プレゼンテーションを聴いたあとは、市民がどうやって政治にかかわるかをディスカッション。参加者それぞれから色々な声が出たあと、白井さんは選挙以外で有権者ができる政治活動として、以下をあげられました。
SNSでの情報発信、質問の投げかけ
・ブログを書く
・行政に陳情書を出す
・市民有志で要望書を出す
・議会を傍聴する

また、選挙でも、国の選挙と自治体の選挙では向き合い方を変えた方がいいというお話も。それは、国の政治と地方自治体の政治はしくみが違うからです。

国政では、議院内閣制を採り、内閣を組織する与党と野党が国会で議論をして法律を決めるしくみになっています。そのため、国政の場合はどの政党が議席を獲得するかが大きな意味を持つため、政党で選ぶほうがよいとのことです。

一方、地方自治体の場合は二元代表制を採り、有権者から直接選ばれる首長と議会が議論をして法律を決めるしくみになっています。地方自治体の首長は圧倒的な権限を持つため、実行力が問われます。また地方議会の議員は、権限の大きい首長に物を申すチェック機能が問われます。いずれも、どういう人物かをしっかりと見極める必要があるのですね。

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私はふだん、ソーシャルデザインの領域で仕事をしていますが、政治についてどうかかわればよいのか、モヤモヤしたものを抱えています。今回お聞きした白井さんのお話からは、ソーシャルデザインと政治の垣根というのはないのだということに改めて気付かされました。そして、白井さんのように政治のことを市民にわかりやすく伝え、対話する政治家がもっと増えれば、多くの人がもっと政治に関心を持つのだろうなあと思いました。その橋渡しになれるよう、これからもSOW!政治、がんばります。

さて、次回のSOW!政治はホリデースペシャルです。9月9日(土)、ランチタイムを中心に、ソーセージづくりも学びながら、対話の場のつくりかたを学びます。講師は、年間180回以上のワークショップを成功させる神ファシリテーターの小笠原祐司(てっちゃん)さん。こんなおいしいイベントないでしょう!みなさま、ぜひふるってご参加ください。

⭐︎対話の場とソーセージのつくりかた
https://www.facebook.com/events/333239810458085/

ムーミンに誘われて高山不動から八洲見晴台へ

妻がトレッキングシューズを新調したので、足慣らしも兼ねて低山ハイクに行こうということに。どうせなら、登ったことがなくて、山だけじゃないお楽しみがあるとこがいいよねえ。ということで、 奥武蔵の高山不動に行ってきました。

 

ちなみに妻の新トレッキングシューズのブランドは「oboz」。はじめて見るブランドだったのですが、ググってみると、どうやらすごくこだわって靴をつくっているみたい。一足売れたら一本苗木を植えるとのこと。履き心地もよかったそうですよ。

 

さて、秩父方面の西武池袋線は満員。ゴールデンウィークですね。下りはいつもは空いているのでナメてました。飯能で秩父線に乗り換えて西吾野まで。満員電車の立ちっぱは山登りよりも消耗する。これからは池袋で空いた始発を待って、座って行くようにしよう。

 

西吾野に着いたらまず深呼吸。おいしい空気を胸いっぱいに吸い込んだら、満員電車の疲れも吹き飛びました。さあ、歩くぞう。登るぞう。靴紐を結び直したりストレッチしたりしてのんびり出発。先に出た人についていく形で登山口へ。登山口には木工所があり、道案内には木でできたムーミンやウサギさんがついているのがかわいいです。

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 高山不動には萩の平茶屋跡を通る西周りのコースと、「パノラマコース」と名付けられた東周りのコースがあります。ここは素直に、パノラマっちゅうくらいやからこっちのほうが景色がええんかな、くらいの気持ちでパノラマコースへ。これは正解。ところどころ開けていて、景色が望めるゆるやかな登りでした。

 

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西周りの道と合流する石地蔵がある分岐点からの尾根を歩いて、ほどなく高山不動尊に。なんでも関東三大不動尊のひとつといわれる、ありがたいお寺らしい。歴史の長さと信仰の深さを感じさせる風格のあるお堂は、外観もさることながら、入ってみてその迫力に息を飲みます。整った材木ではなく、生命力を感じさせる曲がった木がそのまんま使われているのです。煤けた仏像も迫力があり、なかなかの見ものです。

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ここは水場が充実しています。お昼は焼うどんとソーセージだったのですが、こんだけ水を使えるのなら、ラーメンとかもいいかも。お堂のまわりは文化財保護のため火を使えないので、石段を降りたところにある見晴台のようなところでワンバーナーを使って調理しました。

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焼うどんはマルちゃんのチルド。水が少なくてもほぐしやすく、小分けの醤油もついているので山で使いやすいんですよ。ちなみに、おやつに持っていったのは黒棒名門生梅飴あたりめ。息子のセレクトです。黒棒名門は軽くて甘くて腹持ちがするので、山登りにはいいおやつだと思いました。生梅飴も、すっぱさが疲れを癒してくれます。あたりめは、風呂上がりのビールのときに役立ちました(笑)。息子は平日は部活の剣道、休日は地元チームでの野球というスポ根野郎なので、体力を回復させるおやつをよく知っているようです。

 

お参りをし、お昼ご飯をつくって食べて、ひと息ついたら、関八洲見晴台へ。不動尊のお堂のわきを登って国道をしばらく歩き、山道に入ります。見晴台への山道はやや急なのですが、ツツジがきれいに咲いていて心が和みます。

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 坂をエイヤと登りきって、見晴台。お天気に恵まれ、360度山並みが眺められました。遠くにはビルがニョキニョキの都心も。あんなとこに帰るのかと思うと息が詰まりそうになりました…。

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 見晴台の真ん中にある奥の院に手を合わせて、下りです。エアリアマップを見ると、「ゆ」のマークといっしょに「休暇村奥武蔵 こもれびの湯」と書いてあったので、ここを目指して降りていくことにしました。山登りのあとのお風呂って、最高じゃないですかあ。

 

不動尊に戻り、ここかなあ、というところをひたすら下ります。地図を見るといろんな下り方があるのですが、なるべくアスファルトを通らない道を選んだつもり、でした。が、ほどなくして入った道は、ずーっとアスファルト。分岐などを見つけることができず、そのまま1時間ぐらいひたすら緩やかなアスファルトの道路を下っていきました。登山靴って、アスファルトを歩くと疲れるんですよね。特に私は足にピッタリの革靴なのでこたえます。なるべく道のわきの落ち葉が積もったところを踏むようにしながら、ダラダラとひたすら歩きます。

 

やがて集落に出ました。「休暇村奥武蔵はどこじゃい!」キョロキョロしていると民家の庭先に道標が。これはわかりにくい。そして、私たちが元々下りたかった山道からの出口も。ああ、ここから降りたかった。まあいいわ。とにかくすぐに休暇村奥武蔵へ行くべ。

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すぐなのかなあと思ったら、登りがありました。ここにきての登りはこたえます。そして下り。しんどいけど、もうちょっとで休暇村だ、お風呂だい。

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息を切らして休暇村へ。ゴォォオル!お風呂お風呂、と案内を見ると、お風呂は16時30分まで、と。時計を見たら16時10分。終わるがな。一瞬ガクッときたけど、気分を切り替えて、16時25分発の無料送迎バスで吾野駅に向かうことに。その間にカフェで天然水のかき氷を頭イテーと叫びながらかきこみリフレッシュしました。

 

吾野駅前の売店は昭和が生きてるナイスな外観です。店員のじいさんばあさんも味わいを添えています。大したもんは売っていないのがまたいい。

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吾野駅からの電車も激しく混んでいます。どうしてもお風呂はあきらめられず、桜台で途中下車。愛読している「東京天然温泉ガイド」に載っていて、いちど入ってみたいと思っていた久松湯へ。桜台、はじめて降りました。はじめての街は歩いているだけで楽しい気持ちになりますね。見る店見る店おいしそうに見えます。

 

北口を出て5分ほど歩いたところにある久松湯は、オシャレなマンションの入り口のよう。最初気づかずスルーしていました。私たちの山ルックに似つかわしくないオシャレ具合にやや緊張しつつ、普通の銭湯と同じ460円を払いお風呂場へ。いやあ、広々していてきれいでいいですなあ。お湯はしょっぱい温泉と炭酸泉の二種類。露天もあったり温度もいろいろだったりで、ゆっくり楽しめましたあ。山登りの疲れが取れるどころか、登る前より元気になった感じがしました。

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 待ち合わせに遅れたり下りのルートを間違えたり電車の乗り継ぎをミスったりといろいろうまくいかないことがありましたが、久松湯がぜんぶリセットしてくれました。終わりよければすべてよし。ゴールデンウィークらしい、楽しい1日でございました。

「まちがいを恐れずに」自由学園読書会レポート

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間違いのないようにという考えの中で事をするのと、
考えた上ではき違えるならはき違えても構わないという、
潔い勇気をもって事をする人とでは、
その行為の上に著しい違いのあるものです。

(まちがいを恐れずに  …羽仁もと子選集「最も自然な生活」より)

初等部、男子部、女子部、最高学部。
自由学園の四部の父母が集まってともに語り、学ぶ読書会。
今回の課題図書は「まちがいを恐れずに」でした。

人はとかく、周りの顔色をうかがったり、前例にならったりして、
本当に自分が大切だと思ったり、やりたいと思ったりすることへの
チャレンジをあきらめがちです。
失敗を許さない空気が、社会にあるんですね。
でも、社会の空気は自分たちでつくっていくものでもあります。
「はき違えても構わない」そんな気持ちで風通しがいい
社会をつくっていきたいものですね。

本を読んだあとは、ワールドカフェ。
「ピンチをどう切り抜けたか」というテーマで、
テーブルにわかれて話し合いをしました。

自由学園には先生が決めた校則というものがありません。
生徒の自治が重んじられていて、生徒たちが話し合った内容を
6年生(高校3年生)がとりまとめてルールをつくるのです。

ただでさえいろいろある年代です。
子どもたちは、数え切れないピンチに出くわします。

しかし、何かトラブルがあっても、
先生や父母は簡単に口出ししません。
「信じて待つ」それが、
自由学園にかかわる大人たちのスタンスなのです。

読書会の最後に、高橋学園長がこんな話をされました。


「中高生というのは、自分のことがわからないまま成長する時期。
 大人になっていく過程でいろいろなピンチにぶち当たるけど、
 そのたびに視野を広げることになる」

やりたい放題ではない、厳しい「自由」がある自由学園
教えられるだけではなく、自ら学ばざるを得ない環境で、
子どもたちは今日もボコボコになりながら生活しています。

政治×ソーセージ×LEGO=!!!!!

ソーセージをつまみながら政治について語るイベント「SOW!政治」、vol.9はレゴブロックを使い、「LEGOシリアスプレイ」のメソッドを使って行われました。

 

19時を過ぎてぼちぼち人が集まり始め、恒例の、ソーセージをモグモグしながらモヤモヤを共有する時間。公平と平等の違いなど、いきなり深い話題で盛り上がります。

 

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ひととおりお腹がふくれたところで、レゴが登場。一人ひとりに、同じようなパーツが入ったレゴブロックが配られます。組み立ての練習、続いて「意味付け」の練習。自分がつくったタワーに意味を見出し、他の人に説明するという、レゴシリアスプレイの基本を試してみるのですね。

 

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そして、いよいよ政治について。「理想の政治のかたち」を参加者それぞれが頭と手を動かしてつくりあげます。ほとんど同じ材料なのに、それぞれ個性的な「政治のかたち」ができるから面白いです。

 

できあがった「政治のかたち」をみんなで見て、隣の人の作品の説明をし、そのあと自分で解説するというステップで、形の違いだけではなくて、考えの違いも共有していきます。普通のディスカッションだと、声が大きい人やしゃべるのが上手な人が流れをつくったりしてしまうことがあります。でもレゴという目に見えるものを通してひとつひとつじっくり考えることで、お互いの考えについて理解が深まり、また自分の考えを明確にしていくことができるのですね。

 

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最後は、みんなの作品をお互いで配置し直して、一連のストーリーをつくるという作業。ここでも、同じものを通して色々な見方ができることを実感できます。「政治」とひとくちに言っても、それぞれ実は頭の中には違うイメージが居座っています。それをいったん、それぞれの頭と手を経た「かたち」としてアウトプットすることで、より課題が明確になったような気がします。

 

そして、なんといってもレゴは楽しい。ブロックをいじっていると眠っていた遊びこごろが目を覚まし、楽しく、明るく考えようという気持ちが起きてくるのですね。

 

ソーセージだけでも十分、政治の話を穏やかに話すことができるのですが、そこにレゴが加わることでさらに楽しく、深く話をすることができ、実りの多い時間となりました。

 

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さあ、次のSOW!政治は、どんなかたちでやろうかな。

美は見出すもの、育てていくもの

「ただによい景色や美しい花を見た時にだけ、僅かに美を感ずることの出来るような頑なな心でなしに、どういうものの中にも秘されている美を見ることが出来るような深い心を培ってやりたい」

自由学園創立者 羽仁もと子

 

四年に一度、幼稚園から最高学部(大学部)まで、すべての学園生がキャンパス中を舞台に作品を繰り広げる自由学園美術工芸展

 

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「生活即教育」という自由学園の教育理念は美術教育にも生きています。生活の中に美を見出し、その美を生活、そして社会で実現していく。単なる表現にとどまらず、体験を通した思考や感情の動きを芸術として爆発させる。そんな強いアートが自然に満ちたキャンパス内にのびのびとはじけていました。

 

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幼児生活団の作品。うずらや鳩を卵から育てる体験が子どもたちに強い印象を与えているようで、鳥をモチーフとした作品が多くありました。特に鳩を放つ瞬間を描いたものは驚きと喜びにあふれていました。

 

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初等部(小学校)の作品。歴史ある校舎の壁だってキャンパスになります。体育館の中は、子どもたちの感性を通して再現された大自然。その生命力には圧倒されました。

 

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男子部の作品。「価値のないものから価値を生み出し、感動を与える」ということが大きなテーマになっていたそうで、材料は徹底的に廃材です。男子部は自分が学ぶ机と椅子をつくるのですが、その端材をワイルドな額縁にしています。額縁といっても、枠をなしていないのが、彼らの激しさを表現しています。影絵も息を呑む緊張感。廃材を照らす先には、まぎれもない美が映し出されていました。

 

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女子部は圧巻でした。繊細で大胆な心とからだが生み出す瑞々しいアートの数々は、どれだけ眺めていても飽きないほど。

 

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最高学部の作品たちからは、人間のもつ深みを感じました。自由学園の「自由」というのは、人に与えられた可能性を限りなく高め、社会に生かすことだと思うのですが、その自由が花開くとこのような形になるのかと思わされました。いい意味でも底知れない人間の力を目の当たりにし、さあ、自分はどう生きていくのか、と深く内省させられたのでした。

 

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見る人の美意識を揺さぶってやまない自由学園の美術工芸展、次は四年後です。個人的には、オリンピックよりもずっと楽しみです。

夢とうつつの間で観た「うみやまあひだ」

四日野小ガーデン仲間からのお誘いで、映画「やまうみあひだ」の上映イベントに行ってきました。伊勢神宮式年遷宮をめぐり、12人の賢人が語るドキュメンタリー映画です。

 

畑仕事のあとに腹いっぱいランチ食べて観たものだから、正直、美しい映像と音楽の波におぼれて序盤はウトウトしてしまいました。が、中盤以降はじわじわそのテンションに脳が覚醒してきたのか、多面体のようにさまざまな側面から語られる遷宮と自然、そして文明のヴィジョンに引き込まれ、興奮のうちに映画を観終えたのでした。

 

自然に抱かれて、これからの世代に預かった時間を生きる私たちはどう生きるべきか。1300年あまり続いている式年遷宮を通して考えさせられます。圧倒的な自然をとらえた映像の中にいると、自分という一人の人間は本当にちっぽけなものだと思わされます。

 

長期的な視点で、謙虚に自然と向き合ってきたのも日本人なら、いま目先の儲けに翻弄されて刹那的に無気力に生きているのも日本人です。

 

パワースポット流行りもあり、とかく神社に注目が集まり、伊勢神宮もテーマパーク的に注目されていますが、ただ「スゴいよね」「きれいだよね」「ご利益ありそうだよね」で終わらせるのではなく、どうしてスゴいのか、どうしてきれいなのか、どうしてご利益がありそうなのかを問いかけながら訪れたいものだと思いました。

 

伊勢神宮に限らず、歴史的な建物や自然と向き合うときにはね。「やまうみあひだ」は、これからもいろいろなといころで上映会があるようです。機会があればぜひ。私も今度は、もっと大きなスクリーンと深い音響の場で観てみたいですね。

 

上映後のトークも刺激的でした。特にライフネット生命保険の出口社長のコメント。いちいち深く、かつ力が抜けた感じ。「人間の脳は進化していないんですから、考えはシンプルなほうがいいんですよ」「人種なんてないんです。みんなホモサピエンスで、ルーツによって見かけがちがうだけで」などなど。歴史マニアだそうで、人類の歴史を踏まえた人や社会の見つめかたが鮮やかなんです。

 

自然や歴史…。若い頃にはまったく興味がなかったのですが、最近はグイグイ引き込まれていきます。もっと歳を重ねると、もっといろいろ関心が広がって見えて来る世界も変わってくるのかも、なんてちょっとこれから楽しみになったゆたかなイベントでございました。